まちなかの小屋に住む。
開業以来、不思議と関西圏から移住されるお客様とご縁があります。
昨年の夏、まちなかの小さな一軒家をご購入いただいたHさんもそのお一人。
旅行先として幾度か訪ねたことのあった金沢の
魅力ある図書館や美術館、そして自然がまちなかにあるところを気に入っていただき、
ご自宅のあった大阪を離れ、ここに移住することを決められました。
このおうちを購入されるきっかけになったのは、Hさんが長年愛読されている雑誌「住む。」。
その中で紹介されていた建築家・中村好文さんの“小屋”を見て、
小さいながらも住み手の暮らしに必要十分な空間とその味わいに惹かれ、
この建物とご自身の暮らしを重ねられたそうです。
昭和初期に建てられたこの建物は元々は平屋で、数年後に2階部分を増築されたようで、
2階の天井高はうんと低くなっていました。
そんな屋根裏部屋のような雰囲気を活かしながら、Hさんの暮らし方やお持ちの家具のサイズなど聞き取って、
ミニマムだけど居心地の良いまちなかの“小屋”が完成。
年末には無事お引っ越しされ、新居となるこの“小屋”で新年会を開くということでお招きいただき、
リノベーションを担当した「リズム」の藤田さんと一緒におじゃましました。
「ようやく段ボールが片付いたところですよ」とおっしゃっていましたが、
お部屋にはずっと愛用してこられたインテリアやオーディオ、たくさんの蔵書が使い勝手よく収まっているし、
ご近所のスーパーの品揃えや美味しいパン屋さんの情報などは長年住んでいる私より詳しくって、
さっそくまちなかの小屋暮らしを満喫しておられる様子。
以前のお仕事柄、世界各国様々な都市で生活され、様々なモノを見てこられたHさんが
終の棲家に選ばれたのが、ここ金沢のこのおうちだと思うと本当に嬉しくなります。
ご用意いただいた地元大阪仕込みのお好み焼きと、金沢の新鮮なお刺身もとても美味しくって、
深い時間までお話の尽きない夜でした。